「三日入れば三年風邪をひかない」白骨温泉 湯元齋藤旅館に2泊

出発の直前、天気予報に「関東甲信で警報級の大雨のおそれ」と出ました。

台風と秋雨前線の影響です。山あいの温泉地なので、道路が通行止めにならないかと心配しました。

でも、天気予報を見る限り、なんとか大丈夫そう。ずっと雨なことは覚悟して、出かけることにしました。

私の趣味は温泉です。月に一度の温泉旅行を、日々の励みにしています。今回は9月に、夫と白骨温泉の湯元齋藤旅館に2泊してきました。

白骨温泉ってどんなところ?

白骨温泉は、長野県松本市の乗鞍岳のふもと、湯川沿いにある、知る人ぞ知る温泉地です。標高はおよそ1,400m。中部山岳国立公園の中にあります。

鎌倉時代には、すでにお湯が湧いていたとされています。江戸時代には胃腸病の湯治場として栄え、昭和49年には国から国民保養温泉地に指定されました。

「白骨」という名前には、いくつかの説があります。くり抜いた大木の湯船に温泉の成分がついて、白い舟の形になったので「白船(しらふね)」。木の枝が温泉で固まって、白い骨のように見えたので「白骨」。その名前が全国に広まったのは、中里介山の小説『大菩薩峠』の「白骨の巻」がきっかけでした。与謝野晶子や若山牧水など、多くの文人も訪れています。

お湯には炭酸カルシウムがたっぷり含まれていて、湯船や床に天然の模様ができます。源泉からの距離などで湯の色が変わるため、地元では「湯は生きもの」と言われているそうです。

湯元齋藤旅館の歩み

宿の公式サイトによると、白骨に初めて本格的な湯屋をつくったのは、この宿の祖先だと言われています。江戸時代の元文3年(1738年)に、松本藩から「白船御礼」を下された、大野川村の庄屋でした。

中里介山がこの宿に泊まったのは、大正14年(1925年)8月2日。わずか一泊で、『大菩薩峠』の白骨の場面の構想を得たそうです。昭和17年には再び訪れて、一週間ほど滞在したそうです。小説の中で主人公の机龍之介は、白骨に着くとまず「これから充分眠れる」と安心します。

館の名前にも、それぞれ由来があります。介山荘は、中里介山にちなんで名付けられた館です。牧水荘の名前は、若山牧水が湯治に訪れたことにちなんだもの。明治館と昭和館は、建てられた時代を名前にしているそうです。

広い館内。お風呂に近い介山荘を選びました

府中から車で、休憩を入れて5時間。運転は夫で、私は乗っていただけなのですが、移動って意外と疲れますよね。

湯元齋藤旅館は山の斜面に建つ、とても広い旅館です。介山荘・牧水荘・明治館・昭和館の4つの館があり、明治館には、あとでお話しするラウンジがあります。

どの棟に泊まるかで、大浴場までの道のりが変わります。

泊まったのは、中里介山ゆかりの介山荘です。大浴場にいちばん近いのが介山荘なので、お風呂に近い部屋が良ければ、介山荘がおすすめです。

大浴場へ続く回廊(イメージ)

硫黄の匂いと濁り湯。これぞ温泉

ここのお湯は、硫黄の匂いがとても強いです。

湧き出たときは透明なのに、空気に触れると白く濁ります。白骨温泉の公式サイトによると、お湯の成分が空気に触れて細かな粒に変わり、乳白色になるのだそうです。

白さは、お風呂によって違いました。屋根のない野天風呂「鬼が城」は、より白く、絹のような綺麗な色。大浴場は、もう少し濁った白という印象でした。

匂いは強いのに、お湯はとても優しい。長く浸かっていられました。

白骨温泉のお湯は、飲むこともできます。お湯が湧き出しているところに、親切にコップまで置いてありました。

どちらのお湯も酸っぱいのですが、味が少し違います。鬼が城のお湯のほうが、酸っぱく感じました。飲み比べられるのも、面白いところでした。

古くから、胃腸にいいと言われているお湯です。飲むときは、現地の案内に従って、少しずつ楽しむのが安心です。

宿のサイトには、古くから「三日入れば、三年風邪をひかない」と言われてきた、とあります。硫黄の匂いと白い濁り湯。ザ・温泉という分かりやすさがありました。

雨の日の露天風呂(イメージ)

ず〜っと雨。それでも森の雨には風情があった

覚悟していたとおり、滞在中はず〜っと雨でした。

でも、宿は森の中にあります。雨は雨で、風情がありました。

気温は18度くらい。東京より10度以上涼しく、山の上に来たのだと実感しました。

1日目はもうくたくた。温泉に入って夕食をいただいたら、もう眠くなってしまいました。『大菩薩峠』で、龍之介が「これから充分眠れる」と安心した気持ちが、少し分かった気がします。

お部屋には、屋根付きの露天風呂がついていました。屋根があるので、雨の日でも露天風呂に入れます。森の雨の雰囲気を味わえて、良かったです。

本当は、2泊目は散策をしたかったのです。けれど、一日中雨。読書をして過ごすことにしました。

私は温泉に行くとき、いつも本を持っていきます。明治館で、レトロで素敵なラウンジを見つけました。本を読んだり、飲み物を飲んだりできる場所です。

シトシトと降る雨を時々眺めながら、そこで本を読んで過ごしました。読んでいたのは、阿津川辰海さんの『バーニング・ダンサー』。言葉の力を使える警察官たちが事件を追う、「コトダマ犯罪調査課」シリーズの1作目です。少し眠くなったら、昼寝も(笑)。

このシリーズにすっかりハマって、今は続けて2作目の『デッドマンズ・チェア』を読んでいます。私だったらどの能力(燃やす?射る?蘇生する?)がいいかな、と考えるのが楽しいんです。

明治館のラウンジ(イメージ)

館内はリノベーションされていて、快適です。雨の日のお籠りステイも、良いものでした。

川魚が苦手な私が、おいしく食べられた夕食

食事は、とにかく何を食べても美味しかったです。不思議と、胃もたれもしませんでした。

私は川魚が苦手、こちらの川魚は美味しく食べられました。

感動したのは、2泊目の夕食です。前日とまったく違う献立でした。

連泊すると、似た食材の料理が続くことが多いですよね。こちらでは、そんなことはありませんでした。

山の幸の夕食(イメージ)

道の駅で長野のお土産を選ぶのも、楽しい時間でした。ブドウに野沢菜漬、ワインなど(笑)。

あと何回、温泉に行けるだろう

「一生であと何回、温泉に行けるだろう」と、数えてみたことがあります。

月に一度なら、あと20年で約240回。多いようで、数えてみると意外と有限でした。だからこそ、一回一回を大切に選びたくなりました。

終活というと、亡くなったあとの準備を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、残りの時間をどう楽しむかを考えるのも、終活のひとつだと私は思っています。

白骨温泉は、また行きたい温泉地になりました。白骨温泉は宿ごとに源泉が違うので、ほかの宿のお湯も味わってみたいと思っています。

あなたの次の一回は、どこにしますか。

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この記事を書いた人

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磯野 和恵

「ヒバリのそら」代表、磯野和恵(いそのかずえ)。

1970年5月生まれ。東京都練馬区出身の相続診断士。相続コンサルタント。

外資系IT企業の経理・秘書・コールセンター。
2009年 心理カウンセラー活動業務を経て、自身が経験した相続で生じる家族問題へのサポートを強く願う。

2021年に相続診断士の資格を取得。
2023年4月 相続コンサルティングオフィス「ヒバリのそら」を設立。
「笑顔の相続を迎えて欲しい」という願いを込め、家族全員が合意した遺言書を決める〝家族会議支援〟。

相続に強い税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルティング・ファイナンシャルプランナーとチーム連携して、本人の不安や困り事の相談に乗る。

本人も気づいていない想いや希望に、寄り添い引き出すヒアリング。

問題を見つけだし解決へのロードマップを示すことに定評があり、自身も天職とやりがいを感じている。

家族が笑顔で相続を乗り越え、助け支え合える関係で居続けられることを強く願い「みんなが笑顔になれる相続」へと活動する。