葬儀費用が広告の3〜4倍に?追加料金の仕組み

「プラン19万円」のはずが、最終的に3〜4倍に……葬儀費用には、広告に載らない追加料金がたくさんあります。両親を見送った実体験も交えて、見積もりで見落としやすい項目を、相続コンサルタントがやさしく解説します。


「プラン価格を見て決めたのに、最後の請求書にびっくり」——なぜ?

「家族葬プラン 19万円」「火葬式 一式 費用込み」——テレビやチラシ、インターネットで、こんな広告を目にしたことはありませんか?

「思ったより安いのね」とホッとされる方も多いのですが、実はここに、大きな落とし穴があります。広告に出ている金額と、最終的に支払う金額は、まったく違うことがあるのです。ご相談の現場では、「プラン価格の3倍、4倍の請求が来て、びっくりした」というお話を、よくお聞きします。

これは、葬儀社さんが特別に悪いことをしている、という話ではありません。葬儀費用の「仕組み」を知らないと、誰でもそうなってしまう、という構造の問題なのです。

実は私自身も、父と母を見送ったとき、まさにこの「知らなかった」を経験しました。今日は、その体験も交えながら、葬儀費用の仕組みを、やさしく解説していきますね。

「知らなかった」で後悔しないために。葬儀費用のからくりを、一緒に見ていきましょう。

問題の本質:広告の価格は「プランの値段」にすぎない

まず、いちばん大切なことをお伝えします。

広告に載っている「〇〇万円」という金額は、あくまで「葬儀プランの値段」です。つまり、祭壇やお棺など、基本的なセット一式の値段であって、お葬式に必要なすべての費用ではないのです。

実際にお葬式を行うと、このプラン価格に加えて、さまざまな費用がのっていきます。目安として、一般的な葬儀ではプラン価格の3〜4倍、火葬式でも2倍程度が、最終的な総額になることが多いといわれます。

なぜ、そんなに増えるのでしょうか。理由は大きく3つに分けられます。この後、順番に見ていきますね。

広告の価格は「入り口」。そこから何が足されるのかを知ることが、後悔しないコツです。

追加料金が生まれる、3つのパターン

①「そもそもプランに入っていない」費用

まず、多くの方が見落とすのが、プランに含まれていない基本的な費用です。代表的なものを挙げますね。

式場使用料——祭壇を飾り、お葬式を行うホールの使用料です。実はこれ、プランに含まれていないことがほとんどで、しかも数十万円単位になることも。いちばん見落としやすく、いちばん金額の大きい項目です。

火葬料——火葬そのものにかかる費用です。自治体運営の火葬場は無料〜市民料金で済むこともありますが、民間の火葬場では10万円近くかかることもあります。

休憩室料——火葬を待つ間(1時間〜数時間ほど)に過ごすお部屋の料金です。椅子席なら数百円ですが、個室だと数千円〜数万円になることもあります。

これらは「お葬式をするなら、まず必要になる」費用なのに、プラン価格には入っていないことが多いのです。

②「消耗品・実費」として、あとから足される費用

次に、こまごまとした実費や消耗品費です。「一つひとつは小さくても、積み重なると大きい」のがこの部分です。

ドライアイス——ご遺体を保つために使います。プランに「1日分」しか入っておらず、日数分が後から加算されることがよくあります。

安置料——ご自宅に帰らず、施設でお預かりする場合の料金です。1日1万円程度が目安ですが、これも日数分かかります。

音響・司会——司会者の人件費と音響設備。一日葬だと半額になることもあります。

お花(出棺用花束・お別れ花)——棺に納めるお花です。火葬式だとオプション扱いで別料金になることも。

お料理(通夜振る舞い・精進落とし)と返礼品——お通夜や火葬後の会食、参列者へのお返しの品です。「人数×単価」で決まるため、参列者が増えるほど大きくなります。プランには含まれていないのが一般的で、会食だけで数十万円になることもあります。

寝台車・マイクロバス——ご遺体の搬送や、参列者の移動に使う車両費です。搬送は「病院から安置場所まで」しかプランに含まれず、距離が延びると追加になることがあります。

③「家族葬には、実はいらない」かもしれない費用

3つ目は、家族葬なら省けることが多いのに、当たり前のように見積もりに入っている項目です。

式場看板・順路看板——大きな案内看板や、道案内の立て看板です。参列者が多い一般葬では必要でも、身内だけの家族葬では、ほとんど不要です。

高張提灯(たかはりちょうちん)——式場入り口に飾る提灯。1つ数万円しますが、「不要」と考える方が多い項目です。

受付設備一式——記帳台や香典の受付まわりの備品です。参列者が少なければ省けますが、30名前後の家族葬だと、あった方がスムーズなこともあります。

こうした項目は、「家族葬なのに、なぜこれが?」と気づけるかどうかで、金額が変わってきます。

追加料金は「見落とし」から生まれます。項目の意味を知れば、必要・不要を自分で判断できます。

私が両親を見送ったときに、実際にかかった費用

ここからは、私自身の体験をお話しさせてください。父と母を見送ったとき、上に挙げた項目以外にも、実際にかかった費用がありました。

エンバーミングという選択

ひとつは、エンバーミングです。

エンバーミングとは、ご遺体を消毒・殺菌したうえで、血液を防腐剤と入れ替え、必要に応じて修復やお化粧を施す処置のことです。日本語では「遺体衛生保全」と呼ばれます。専門の資格を持つエンバーマーという技術者が行い、これによってドライアイスを使わずに、10日〜2週間ほど、きれいなお姿を保つことができます。費用は15万円から25万円ほどが目安といわれています。

なぜ、これが必要になったのか。理由は、火葬場の予約がなかなか取れなかったからです。

これは、体験して初めて分かったことでした。火葬場には、友引を休業日としているところもあります。さらに、告別式は午前中に行われることが多いため、その時間帯の火葬枠から埋まっていくのです。「午後2時なら空いていますよ」と言われても、そこから逆算すると、式の時間が合わない——。そんなふうにして、日程がどんどん先へ延びていきました。

近年は高齢化で火葬場が混み合い、亡くなってから火葬まで日数が空くケースが増えているそうです。そのために、エンバーミングを選ぶご家族も増えているといいます。

心を込めて選んだ「メッセージボード」

一方で、これは私が「どうしてもやりたい」と思って追加したものもあります。メッセージボードです。

ホワイトボードのような板に、参列した皆が、故人へあてたメッセージを書き込むのです。「ありがとう」「またね」——それぞれの言葉が並んでいくその光景に、胸がいっぱいになりました。

費用はかかりますが、これは私にとって、後悔のない、大切な選択でした。書き終わったメッセージボードは、最終的には棺に入れます。2万円くらいだったと記憶しています。

ご自身で準備出来るのであれば、もっとリーズナブルに出来るかもしれません。その場合は、棺に一緒に納められるかどうか、念のため葬儀社へ確認されることをおすすめします。

そして、疲労困憊の中での「待合室」

もうひとつ、印象に残っているのが、火葬を待つ間の待合室です。

希望していた人数に合う部屋が空いておらず、私たちの人数よりもずっと大きな部屋しか残っていませんでした。結果として、数万円をお支払いした記憶があります。

でも、正直に言えば——そのときの私には、お金のことを細かく考える余裕が、まったくありませんでした。 心も体も疲れ果てていて、「はい、それでお願いします」と答えるだけで精一杯だったのです。

冷静に考えられるのは、元気なうちだけなのですね。

相続の仕事を始めて知った、「知っていれば」の話

そして、この仕事(相続コンサルタント)を始めてから、葬儀社さんに教えていただいて、思わず「ガーン」となったことがあります。

私が住んでいる府中市には、市民向けの「府中の森市民聖苑」があり、所定の利用要件を満たせば火葬室を無料で利用できます。しかも、式場と火葬場が同じ敷地内にあるため、霊柩車やマイクロバスの費用もかからず、ご遺族の移動の負担も少ない——。

父と母のときは、何も考えず、実家の近くだからという理由だけで、練馬の葬儀社を選んでしまいました。もちろん、そこでの葬儀に後悔はありません。けれども、「知っていたら、選択肢が違ったかもしれない」——そう思わずにはいられませんでした。

こうした公営斎場の制度は、自治体によって内容も条件もさまざまです。使えるかどうかは、故人や喪主がその市の住民であるかなどの要件によります。「うちの市には、どんな制度があるのかしら」——それを知っているだけで、選べるものが変わってきます。

「知らなかった」は、誰のせいでもありません。でも、「知っておく」ことは、今からできることです。

解決方法:見積もりで後悔しないための、3つのコツ

では、どうすれば見積もりで慌てずに済むのでしょうか。3つのコツをお伝えします。

  1. プランの値段より先に、「プラン以外に何がかかりますか」と聞く
    これがいちばん大切です。「このプランに含まれないものを、すべて教えてください」と最初に尋ねれば、総額のイメージがつかめます。
  2. 「これは家族葬でも必要ですか?」と、一つずつ確認する
    看板や提灯など、「うちの規模でも要りますか?」と聞くだけで、不要なものを省けます。遠慮はいりません。
  3. ドライアイス・安置料は「何日分ですか?」と確認する
    日数で変わる項目は、「見積もりは何日分で計算されていますか?」と聞いておくと、後の追加でびっくりせずに済みます。

そして何より効果的なのは、元気なうちに、事前に見積もりを取っておくことです。最近では、葬儀社への生前相談も少しずつ知られるようになっています。慌てていない時に、落ち着いて比較できる——これが、いちばんの安心につながります。

今日からできる、小さな一歩

「まだ元気だから」と思われるかもしれません。でも、私自身が経験したように、いざという時は、冷静に見積もりを吟味する余裕はないのです。だからこそ、今できることがあります。

  1. 広告の「プラン価格」を、うのみにしないと心に留めておく
    「これは入り口の値段。実際はもっとかかる」と知っておくだけで、見方が変わります。
  2. お住まいの市に、公営の斎場があるか調べてみる
    「〇〇市 斎場」「〇〇市 火葬場」と検索してみてください。市民向けの制度があるかもしれません。私のように、後から知って驚くことのないように。
  3. 気になる葬儀社に、事前に見積もりを頼んでみる
    「まだ先のことですが」と前置きすれば大丈夫。生前相談は、今では珍しいことではありません。

見積もりは「言われるまま」ではなく、「理解して選ぶ」もの。その姿勢が、あなたとご家族を守ります。

まとめ:仕組みを知れば、葬儀費用は怖くない

葬儀費用について、大切なポイントをまとめます。

  • 広告の価格は「プランの値段」。総額は一般葬でその3〜4倍になることも
  • 式場使用料・火葬料は、プランに含まれず、金額が大きい
  • ドライアイスや安置料は「1日分」しか入っていないことがある
  • お料理・返礼品は人数によって費用が大きく変わる
  • 火葬場の予約が取りにくく、エンバーミングが必要になることもある
  • お住まいの市の公営斎場を知っておくと、選択肢が広がる
  • 「プラン以外に何がかかるか」を最初に聞くのが、いちばんのコツ

葬儀費用が広告の何倍にもなるのは、「仕組みを知らないから」起きることです。逆に言えば、仕組みさえ知っておけば、慌てず、納得して選べます。

私は父と母を見送ったとき、疲れ果てて、何も考えられませんでした。だからこそ、皆さまには、元気な今のうちに知っておいてほしいのです。それが、大切な方を心をこめて送るための、いちばんの準備になります。

「うちの場合はどう考えればいいの」と迷ったら、どうか一人で抱え込まないでください。私は相続葬送支援士として、葬儀社に偏らない中立の立場から、費用のことも一緒に整理するお手伝いができます。

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まず、話してみるところから


私が両親を見送ったとき、いちばん欲しかったのは、「この見積もり、妥当ですよ」「それは断っても失礼じゃないですよ」と、隣で教えてくれる人でした。だから私は、同じ思いをする方を一人でも減らしたいと思っています。

葬儀費用のこと、葬儀社選びのこと、その先の相続のこと——。「うちの場合はどうなのかしら」と思ったら、お茶でも飲むような気持ちで、お話を聞かせてください🍵

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この記事を書いた人

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磯野 和恵

「ヒバリのそら」代表、磯野和恵(いそのかずえ)。

1970年5月生まれ。東京都練馬区出身の相続診断士。相続コンサルタント。

外資系IT企業の経理・秘書・コールセンター。
2009年 心理カウンセラー活動業務を経て、自身が経験した相続で生じる家族問題へのサポートを強く願う。

2021年に相続診断士の資格を取得。
2023年4月 相続コンサルティングオフィス「ヒバリのそら」を設立。
「笑顔の相続を迎えて欲しい」という願いを込め、家族全員が合意した遺言書を決める〝家族会議支援〟。

相続に強い税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルティング・ファイナンシャルプランナーとチーム連携して、本人の不安や困り事の相談に乗る。

本人も気づいていない想いや希望に、寄り添い引き出すヒアリング。

問題を見つけだし解決へのロードマップを示すことに定評があり、自身も天職とやりがいを感じている。

家族が笑顔で相続を乗り越え、助け支え合える関係で居続けられることを強く願い「みんなが笑顔になれる相続」へと活動する。