こんにちは、相続コンサルタントの磯野和恵です。
先日、あるお客様からご連絡をいただきました。
「父が亡くなりました」——と。
そのお父様とは、半年前に公正証書遺言を作成するために一緒に公証役場を訪れ、私はその際、証人として同席いたしました。
◆ ウナギを美味しそうに召し上がっていたあのとき…
遺言書の作成が終わったあと、
「せっかくだから食事でも」と誘っていただき、
ご家族と一緒にうなぎをいただきました。
80代後半のお父様はとてもお元気そうで、
「こんなにしっかり召し上がれるなんて、すごいなあ」
と私も安心していたことを覚えています。
それだけに、今回の訃報には驚きと寂しさを感じました。
あの日のご様子が、今でもはっきりと心に残っています。
◆ 遺言書が“間に合って”いたことに、安堵
ご連絡をいただいたとき、真っ先に思ったのは、
「遺言書が間に合って本当に良かった」という気持ちでした。
そのご家庭では、遺言書がないと、間違いなく”争族”になっていたと思います。
娘さんのお話ですと、遺言書を作成した後、みるみるうちに弱っていかれたそうです。
まるで、自分の仕事は終わったのだという感じで・・・
ご自身の経験から、子供達には争わせたくない、というお気持ちが強かったのだと思います。
優しいお父様だったので、遺言書は残されたご家族への“最後の愛情表現”だったのかもしれません。

◆ 遺言書は、“もしも”のその前に
相続の相談をしていると、
「そのうち書こうと思ってる」
「まだ元気だから大丈夫」
という声をよく耳にします。
でも、“そのうち”がいつ来るかは誰にもわかりません。
あの時、「今、やっておきましょう」と背中を押せたこと。
そのご判断をしてくださったご家族に、心から拍手を送りたいです。
◆ 相続を“残された人のために”考えるということ
遺言書は、自分のためだけのものではありません。
「残されたご家族への思いやり」であると、私は思っています。
きっとあのお父様も、
「子どもたちに迷惑をかけたくない」
「元気なうちにできることはしておきたい」
というお気持ちだったのだと思います。
◆ 最後に
お父様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
遺言書の作成に関わらせていただいたこと、
信頼してお任せいただけたことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
この経験を通して、
「その人らしい最期を支える相続サポート」を
これからも大切にしていきたいと感じました。